大切なものは命懸けても守り抜け 〜雛苺考察〜

 ドール考察第4弾は桃色のでっかいリボンが似合う
雛苺で行かせていただきます。5月5日こどもの日、
TALE3の回想チャンバラシーンは、すぐ上の姉・真紅
の取り戻すべき日常への思いの原動力となっていますね。


 設定画から推測される身の丈は68cm、ポストへは
大ジャンプしてやっと届く高さです。以前ばらしーの項で
書いた身長÷27.2で出る重さは2.5kg。猫にも問題なく
またがることができますね。所狭しと動き回るさまは
見ていて本当に愛くるしいものを感じます。


 まさに妹という言葉がよく似合う彼女は、初期は
寂しがり屋かつ甘えん坊といった具合で、とても
独りにはできないタチでした。まあ、これは近くに
幼子が居る方にはよく分かると思います。


 彼女の場合、第2次大戦前に契約を交わしていた
コリンヌ・フォッセーとの突然の別れがこれを加速
させてしまいます。


 フランスが軍事事情に巻き込まれたのは1941年といいます。
ローゼンの連載開始が2002年ですから、作中の舞台もこの
あたりであるといって間違いないでしょう。これすなわち、
雛苺はあれから60年以上、あの別れを背負い眠っていたのです。


 巴が最初にかばんを開けたときに、彼女は涙を流し
眠っていました。しかも今度は学業部活とあまり家に
長くいない中学生が契約者です。やんごとない事情では
ありますが、またしても寂しさに拍車をかけてしまいます。


 そして、Phase5で運命を左右するともいえるあの事件が
巻き起こりました。ちなみに、この時すでに雛苺と巴は
雪華綺晶に逢ってちょっと経っています(Phase33)。


 ほどなく雛苺は真紅に敗れて、彼女は契約者であり、
親しい遊び相手だった巴を信じて眠りに落ちようとします。
が、真紅はこの思いを全て汲み取っていました。


 して、彼女の桜田家での日常が始まります。が、最初は
ジュンとも打ち解けられず、「巴の所に帰りたい」とも嘆きます。
これは、ジュンが彼女を受け入れていなかったから、でしょう。


 この壁はジュンが「うにゅー」の正体を見事暴いたことで
華麗に取り払われます。この「うにゅー」こそが、彼女の心への
架け橋とも考えられます。以降、完全に雛苺はジュンと打ち解け
ドタバタを繰り広げます。


 アニメ1期5話、漫画Phase14の階段における兵糧攻めシーン及び
アニメ2期5話、漫画ExtraPhaseの手紙を届けるシーンでは非常に
輝いていました。和ませていただきました。


 とはいえ、彼女も薔薇乙女としての悲痛な運命を理解していました。
漫画Phase32でもこの辺りを窺えますし、持ち前の明るさで
ここをぼかすあたりが何とも言えません。


 そこからすぐの雪華綺晶との急展開ですから、初めて読んだときは
絶句しました。そしてPhase36、真紅にローザミスティカを託す
シーンでトドメです、もう、泣きましたね、ホント。Phase43の
のりの気持ちがよく分かります。


 原作では思い出にのみ出てきますが、その全てで物語をサクセスに
導いています。TALE23では、最後の最後ベリーベルによって真紅の
身体を取り戻すことに成功しています。そして今、ジュンたちは
他ならない雛苺のため、走り出しています。


 アニメでは、忘れじの2期10話。巴のもとでその薇の動きを停めますが、
この時の彼女は一度も泣かなかったのです。最後の朝見せたいつもの明るさと
最初期との対比が効いていて、……


 最後に愛を見せられて泣くなという方がねぇ、無理な話なんですよ。
巴の涙をぬぐう手は小さかった、けど愛はとても大きかったのです。
今も、桜田家で蒼い子とともに、のりに手入れされています。
ジュンは、今も眠りの間際にくれたオレンジ色のクレヨンを持っているでしょう。


 こちらがしんみりさせられることの多い彼女ですが、随所で見せる
その笑顔で自身の寂しさもろともに吹き飛ばします。雛苺は、本当に
大切なもの(毎日、愛する人の毎日)を、今も護っているのです。


 ちなみに、アニメの中でたびたび雛苺が歌を歌っていましたが、
アレは中の人である野川さくらさんのアドリブだったりします。
「はいほー、はいほー♪」は明るさが効いてて好きです。